近年、Webクローリングは企業が情報収集をする際に活用されている手段の一つで、情報収集を大幅に効率化できるなどの利点があります。そんなWebクローリングをこれから実施しようと検討しており、どのような仕組みがあるのか知りたいという方もいるのではないでしょうか。
今回は、Webクローリングの基本的な仕組みや種類、活用法、やり方、注意点などを分かりやすく解説します。
Webクローリングとは、クローラーというプログラムがWeb上を巡って、WebページのリンクをたどりながらWebサイトを巡回し、Webページにある情報を保存・収集することを指します。
クロールとは英語の「crawl」が持つ「はって行く」「クロールで泳ぐ」など意味から来ており、クローラーがWeb上の情報を、リンクをたどりながら収集していくイメージを持つとわかりやすいでしょう。
Webクローリングにおいて重要なプログラムであるクローラーの概要や仕組みなどの詳細は以下の記事よりご確認ください。
関連記事:Webクローラーとは?基本的な意味や仕組み、役割などをまとめて解説
Webサイトは通常、HTML文書でできていますが、他のページに移るためのリンクが記述されているタグを目印に、次々とWebページをクロールしていきます。Webサイトは随時更新されていくものであるため、定期的にクローラーを実行し、随時、最新情報を取得するのが一般的です。クローラーが情報を取得した結果としては、一覧化されたURLが出力されます。
Webクローリングを理解する際に、合わせて知っておきたいのが「Webスクレイピング 」です。WebスクレイピングもWebサイトなどを巡回し、情報を収集する方法の一つですが、Webクローリングとは情報収集の目的が異なります。
Webスクレイピングは英語の「Scrape」という「こすり落とす」「削り取る」などの意味から来ており、必要な情報にしぼって抽出する意味合いがあります。例えばWebサイトの特定の部分のテキストや画像だけを収集します。これに対して、WebクローリングはWebサイト全体の情報を収集してリストアップしていくことを目的とする点に違いがあります。
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Webクローリングを行うのはクローラーというプログラムだと上述しましたが、クローラーには用途に応じて複数、種類があります。それぞれの種類をご紹介します。
クローラーとして真っ先にイメージされるのが、検索エンジンのクローラーです。検索エンジンでは日々、膨大なWebサイトやWebページの情報を集めてデータベースに蓄積し、それらを検索できるようにしています。その情報収集にクローラーが使われています。
例えば、検索エンジンのクローラーには次のようなものが挙げられます。
「Googlebot」は、検索エンジンGoogleによるクローラーです。Googlebotが収集したWebサイトのデータをデータベースに格納します。
「Bingbot」は、検索エンジンBingによるクローラーです。Microsoftが運営しています。
「Baiduspider」は、中国の検索エンジン百度(バイドゥ)のクローラーです。中国では、Googleの利用が禁止されているため、百度が広く利用されています。
もう一つは、クローラーツール(スクレイピングツール)のクローラーです。クローラーツールは、主に情報収集やリサーチのために利用されています。
クローラーツールを利用することで、クローラーを自分でプログラミングして開発することなく、Webクローリングを行うことができます。多くのクローラーツールは、操作が容易で手軽にWebクローリングを実施できるように作られています。
WebクローリングはWebサイト上の大量の情報を短時間で収集することができます。これにより、これまで手作業で行っていたような調査や事務確認などの作業を自動化し、該当作業にかかっていたコストの削減も可能です。さらには、そのリソースを注力したい作業に配分するなど、業務効率化が実現できるでしょう。
また、手作業で行っていた作業を自動化するという観点では、ヒューマンエラーをなくして情報収集精度を向上させられます。その業務に取り組むことで発生しているかもしれない人の身体的・精神的な疲労も取り除くこともできるかもしれません。
上述の通り、WebクローリングはWebサイト全体の情報を収集してリストアップしていくことが目的、Webスクレイピングは必要な情報にしぼって抽出する目的の違いがあります。これらを組み合わせることで、大量の情報から必要な情報だけを抽出することができます。
Webクローリングで収集した情報は、自社にとって重要度が低い情報まで多く含まれている可能性があり、取捨選択する必要があります。Webスクレイピングも活用することで、自社が必要とする情報だけを指定して抽出できるでしょう。
ビジネスでWebクローリングを活用することで、次のようなさまざまな用途に役立てることができます。
Webクローリングによって市場調査を行うことができます。例えば、自社製品を市場に投入した後、SNSでどのようなリアクションがあるのか、実際に購入したユーザーはどのようなレビューを投稿しているのかなどをWebクローリングすることで集められます。製品開発やマーケティングに活かしていくことができるでしょう。
営業活動に役立つ情報を取得することが可能です。例えば、営業先の顧客の公式サイトで発表されるニュースリリースを取得して、営業活動や顧客とのコミュニケーションに利用するといった方法です。
また、営業リストの構築も可能です。Web上に公開されている企業のWebサイトや住所、メールアドレスなどをWebクローリングで取得すれば、数多くの営業先を連ねたリストを作ることができます。
クローラーを自社で開発し、オリジナルの検索エンジンを制作することもできます。検索エンジンを構築するには、膨大な量のWebサイトの情報を取得する必要がありますが、Webクローリングを行うことで、手作業での収集と比較してはるかに労力と時間が削減できます。
Webクローリングを自社でビジネスを目的に実施する際は、主に次の3つの手段が考えられます。
Webクローリングを実施する1つ目の手段としては、自らプログラミングを行い、クローラーを開発することです。Python、PHPなどのプログラミング言語を用いれば、クローラーを自作することができます。
一般的には、まず情報を取得したいWebページに対して、「HTTPリクエスト」を送ります。HTTPリクエストとは、Webサーバへ、「このファイルを送ってください」などの要求を伝えるメッセージのことです。メッセージを送ったら、WebサーバがWebページの情報を返してくれます。次にWebページを解析し、調査した上で必要な情報を取得します。
Webクローラーを開発するための方法や注意点は以下をご覧ください。
関連記事:Webクローラー開発とは?クローリングの構築方法や注意点を解説
既存のクローラーツールを利用すれば、開発せずともすぐにWebクローリングを行うことができます。Webクローリングを自動化できる機能が備わっている場合が多く、Webクローリングの知識を有していなくても容易に実施できます。
Webクローリングはサービスとして提供されていることもあり、Webクローリングサービスを利用することでクローリング結果を簡単に得ることができます。プログラミングで自社開発を行う必要はなく、多くの場合、サービス提供事業者が高度なツールを利用してWebクローリングを行います。
例えば、キーウォーカーがご提供するWebクローリング&Webスクレイピングサービス「ShtockData」は、Webサイトを周期的にWebクローリングし、Webページ上のデータを抽出、収集するサービスです。Webクローリングだけでなく必要な情報を抽出するWebスクレイピングも可能です。収集したデータは、標準化された形式に変換、クラウド上のデータウェアハウスに格納され、いつでも参照して利用することができるため、ビジネスシーンで容易に活用できます。
商品価格、レビュー、企業情報、ニュース記事などのテキストデータ、画像や動画などを容易に取得でき、市場変化の検出や競合他社の商品やサービスの価格や性能の比較に活用されています。
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Webクローリングによる情報取得はビジネスに大いに役立てられる一方で、自社でクローラーを開発して実施する際には、注意が必要な場合もあります。
Webクローリングを実施する前に、収集したいWebサイトがAPIを公開しているかを確認すると良いでしょう。
APIとは、「Application Programming Interface/アプリケーション・プログラミング・インターフェイス」の略語で、Web上に公開している情報を、自社のアプリケーションなどに連携させて取得できるインターフェースのことです。もしAPIを公開しているWebサイトであれば、そのAPIとの連携でも情報を取得できます。
以下の関連記事は、WebスクレイピングとAPI利用の違いを解説した記事になりますが、Webクローリングとの違いの参考として合わせてご覧ください。
関連記事:WebスクレイピングとAPI利用の違いとは?特徴や活用法で比較
また、事前に「robots.txt」というファイルも確認しましょう。慣習として、WebサイトのURLの直下に置かれていることが多くあります。robots.txtにはクローラーのようなロボットのアクセスが許可されているページ、禁止されているページについて記載されている場合があるため、クローラーを巡回させる前に確認しましょう。
Webクローリングを頻繁に行うと、対象WebサイトのWebサーバに大きな負荷がかかることがあります。場合によってはWebサイトによって提供されているサービスへの妨害になってしまいかねません。過度な負担をかけない頻度で実施する必要があります。
Webクローリングで取得した情報は、自由に使っていいわけではありません。個人情報が含まれていた場合は、個人情報保護法に則り、本人の同意なく取得、公開、売買してはいけません。取り扱いには十分注意が必要です。
また著作権のあるコンテンツについては、著作権を無視した利用や複製を行うことは基本的に著作権法違反になります。この点も注意しましょう。Webクローリングと著作権法との関係性の詳細は以下の記事よりご覧ください。
関連記事:Webスクレイピング・Webクローリングと著作権法について。注意点を解説
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Webクローリングは、企業の効率的な情報収集を可能にする大きなメリットのある手法です。実施する際には、注意点を守りながら、効率的に実施しましょう。
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