技術用語として「スクレイピング」や「クローリング」を一度は耳にしたことがあることでしょう。しかし、それぞれどのように違うのか理解しているでしょうか?そこで今回は、スクレイピングとクローリングの違いをテーマに、メリットや利用例などをご紹介します。
まずはスクレイピングの言葉の意味とメリットを確認しておきましょう。
スクレイピングとは、対象データから必要な情報を抽出して収集し、活用しやすいように加工する技術のことを指します。情報をただ収集するのではなく、余分な情報を削り取り、必要な情報だけを取得することが大きな特徴です。
「Scraping(スクレイピング)」は「こする」や「かき集める」といった意味を持つ「Scrape」という言葉からきており、情報をこすり落とすようにかき集める意味合いとなります。
このスクレイピングのうち、Web上の情報を収集することを「Webスクレイピング」とも呼びますが、本記事では統一して「スクレイピング」とします。
スクレイピングでは、プログラムによって必要な情報だけを自動で抽出することができます。これによって、Web上に存在する大量の情報から、1ページずつ、コピー&ペーストする手間がなくなります。
続いて、クローリングの言葉の意味とメリットを確認しましょう。
スクレイピングと似たものに「クローリング」があります。クローリングは、Web上の情報を収集する方法の一つで、Webサイトを巡回して情報を収集しリストアップすることができますが、スクレイピングのように「抽出」の意味合いは持ちません。
クローリングは自動でデータ収集を行えるため、情報収集作業の大幅な効率化につながります。また膨大なデータを集められるのもメリットといえます。集めた膨大なデータを活用する業務もスピーディーかつ効率的に進められるでしょう。
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上記のことから、スクレイピングとクローリングは情報収集手段という意味で共通していますが、大きな違いは「目的」にあります。クローリングは、あくまでWebサイト全体の情報を収集してリストアップしていくことを目的とする一方で、スクレイピングは必要な情報にしぼって抽出することを目的とします。
ただし、それぞれ明確な定義があるわけではないため、大まかに目的が異なると理解しておきましょう。
関連記事:Webスクレイピングとは?仕組みや活用事例など分かりやすく解説!
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スクレイピングとクローリングの違いのうち、実行結果の違いを解説します。
スクレイピングが実行するのは、主に抽出です。ただ情報を取得するだけでなく、余分な情報を削りとってきます。そのため実行結果としては、WebサイトのURLのリストに加えて、あらかじめ抽出を指定した画像や映像、テキストなどが挙げられます。
クローリングが実行するのは、主に巡回・収集です。クローラーと呼ばれるツールがWebサイトを巡って収集し、URLを取得してリストアップします。
実行結果は、通常、URLのリストとなります。他にも画像やテキストなどの項目が合わせて取得されることもあります。
スクレイピングとクローリングは、具体的な使用シーンが同じ場合もあれば、異なる場合もあります。それぞれの違いを確認していきましょう。
スクレイピングは、情報を抽出することに特徴があるため、特定の情報を集めたいシーンに適しています。例えば、ECサイトの価格情報だけを抽出したいといったケースに向いています。価格情報だけを比較しながら、自社商品の価格設定などに役立てることができます。
クローリングにおいては、情報収集シーンに向いています。Webサイトのコンテンツ内容は問わず、URLだけ取得したいケースでは適しているでしょう。またできるだけ最新の情報、ニュースなど、端的に表面上の情報を収集したいシーンも適していると考えられます。
代表的な例として、検索エンジンのクローラーが挙げられます。GoogleやBingといった各検索エンジンがクローラーでWeb上の情報を収集し、データベースに登録しています。
スクレイピング・クローリングを行う場合は、適したプログラミング言語で開発を行うようにしましょう。
Python(パイソン)は、短いコードで記述でき、シンプルな言語であることから、初心者でも比較的、容易に利用できる点に特徴があります。
ライブラリやフレームワークが豊富にあるため、効率的に進められる観点から、スクレイピング・クローリングのプログラミングに適しているといえます。また、機械学習やAI開発などで用いられ、人気の高い言語といえます。
関連記事:PythonでWebスクレイピングを行う方法まとめ!基礎から手順を解説
PHP(ピーエイチピー)は「PHP: Hypertext Preprocessor」と呼ばれるプログラミング言語です。WebサイトやWebアプリケーション開発に利用されることが多く、スクレイピング・クローリングに特化した言語ではないため、採用推奨度は高くありません。もしすでにPHPを利用したことがある方であれば、開発環境が整っているため、開発を始めやすいでしょう。
関連記事:PHPでWebスクレイピングをする方法まとめ!基礎から手順を解説
Ruby(ルビー)は、国産のプログラミング言語で、「Ruby on Rails」というフレームワークと相性が良く、Webアプリケーション開発でよく利用されます。スクレイピング・クローリングでは「Nokogiri」というライブラリがよく使用されますが、大規模なWebシステムとして開発する場合は他の言語のほうが優先されることから、不向きといえます。
JavaScript(ジャバ スクリプト)は、Webページを作るHTMLやCSSと組み合わせて動的なWebページを作るためのプログラミング言語の一つです。サーバーで動かすことも可能で、そのときに利用されるのが「Node.js」と呼ばれる、JavaScriptをサーバー側で動作させるプラットフォームです。Node.jsを利用することで、サーバーサイドで動作させることができることから、スクレイピングをプログラミングすることが可能になります。
ただし、ゼロから環境構築を行う必要があり、環境構築に手間がかかる点がデメリットといえます。
スクレイピング・クローリングを行う際には、共通して次の機会のような禁止事項があるため、注意が必要です。またそれぞれの対応策も合わせて確認しましょう。
スクレイピングやクローリングを行うにあたって、収集先サイトのサーバに大幅な負担をかけるようなアクセスを行うことは避けなければなりません。なぜなら、サーバに負荷がかかることで、Webサイトの挙動が遅くなり、最悪の場合サーバがダウンしてしまいます。その結果、Webサイトで提供されているサービスの業務妨害と判断される恐れがあります。対策として、頻繁なアクセスは避けるようにプログラミングする必要があるでしょう。
スクレイピングやクローリングで収集する情報自体にも注意が必要です。日本の個人情報保護法では、個人情報を取得する際には、利用目的を本人に明示する必要があります。
基本的には個人情報の収集は避けるようにしましょう。もし個人情報を誤って取得してしまった場合には。公開コンテンツに含まれていないかなど、十分な確認体制が必要になります。
収集したデータに著作権で保護されている情報が含まれている場合にも注意が必要です。
著作権とは思想や感情を創作的に表現した著作物について、それを独占できる権利です。著作物を利用する際には、原則として著作権者の同意を得なければなりません。そのため、基本的には収集する際にも同意が必要ですが、情報解析を目的とした記録に関しては同意なく行うことができます。このような法的に許可されている利用範囲は事前によく確認し、違法とならないようにしましょう。
スクレイピング・クローリングを行う際には、プログラミングによってツールを開発して行うことも可能です。ただし、ビジネス用途の本格的な情報収集では、ノウハウだけでなくエンジニアや相応の環境構築が必要なため、ハードルが高いといえます。
そこで、第三者が提供しているサービス・ツールの利用も検討しましょう。
例えば、Webクローリング&Webスクレイピングサービス「ShtockData」は、Webサイトを周期的にWebクローリング(巡回)し、Webページ上のデータを抽出、収集するサービスです。収集したデータは、お客様の要望に応じた形式 に変換され、クラウド上のデータウェアハウスに格納されるので、すぐにデータの利用が可能です。
画像やテキスト、たとえ商品価格、レビュー、企業情報、ニュース記事などを取得することで市場調査や分析作業が容易に行えます。
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スクレイピングとクローリングは、どちらも企業にとって情報収集を効率化する有意義な方法といえます。最適な方法を選択し、効率的に進めることをおすすめします。
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