クローリングを行って自社の情報収集を効率化したいと考え、Webクローラーを自分で開発することを検討している場合、どのような方法で構築すればよいでしょうか。今回は、クローリングの概要から実現できること、そして開発方法や開発の際の注意点を解説します。
まずはWebクローラーの基礎知識を確認しておきましょう。
Webクローラーとは、Web上にあるWebサイトの情報を自動で収集するプログラムのことです。「クロール(crawl)」とは「はい回る」を意味することから、Web上をはい回って情報を取得するイメージを持つとわかりやすいでしょう。
Webクローラーが収集できるのは、テキストや画像や動画などあらゆる情報です。Webクローラーが取得してきたWebページのURLリストが主な成果物となります。人が手作業でURLを取得してリストアップすることもできますが、膨大な量となれば、途方もない時間と労力がかかってしまいます。その点、Webクローラーであれば短時間かつ効率的に実施できます。
Webクローラーが行うクローリングと似た意味合いを持つ「スクレイピング」は、集めた情報の中から不要な部分を削り、必要なものを抜き取ってデータベース化する手法です。近年は、情報収集の自動化に際してスクレイピングとクローリングを併用して実施されています。
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代表的なWebクローラーには、検索エンジンのGooglebotやBingbotなどがあります。Googlebotは、Googleの検索エンジンのWebクローラーで、Webサイトを巡回することでGoogleの検索エンジンにインデックスされます。Bingbotは、Microsoftによって開発されたBingにおけるWebクローラーです。
また、情報収集用途におけるクローラーは、Webクローラーツールとして製品化されて販売されています。
これらのWebクローラーは、自ら開発することもできます。
Webクローラー開発を行うことで、どのようなことができるのか具体的に確認しておきましょう。
Webクローラーを開発することにより、従来は手動で行っていたようなWebの情報収集の自動化が可能になります。手動で行う場合、ヒューマンエラーによって作業の抜け漏れなどがどうしても発生してしまいますが、Webクローラーで自動化すれば、そのようなヒューマンエラーも削減できます。効率的にデータベースを構築したい場合や、人的リソースに限りがある場合に向いています。
Webクローラーが情報収集をすることにより、競合調査やユーザー調査を実施できます。例えば、自社のECサイトで商品の価格を設定する際に、競合他社のECサイトの価格情報を精査することは欠かせません。なぜならユーザーは他社のECサイトの価格と比較検討して買い物を行うのが一般的だからです。もし他社よりも価格が高いものが多ければ、他社ECサイトのほうが優勢となる可能性が高まります。そこでWebクローラーが拾ってきた価格情報を参考にすることで、他社と比べて有利な価格設定が可能になります。
また、ECサイトやSNSなどに投稿されているユーザーの口コミやレビューなども商品の販売や開発にも役立ちます。
Webクローラーが収集してきたデータをデータベース化して、データ基盤にすることもできます。Webクローラーは膨大な数のURLを自動で集めることができるため、データベースの構築が容易に行えます。これまでデータベースの構築に課題を感じていた場合も、Webクローラーを活用すれば実現しやすくなるでしょう。
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では、実際にWebクローラーを開発・構築するにはどうすればいいのでしょうか。基本的な方法をご紹介します。
Webクローラーは、Python、Ruby、JavaScript、PHPなどのプログラミング言語を用いて開発できます。
Pythonでプログラミングを実施した場合、Webクローラーが次の流れで情報収集を行うようにプログラミングします。
Webサイトに、HTTPリクエストという「こういうWebページを送ってください」というメッセージを送信する工程です。
サーバからリクエストしたWebページが返ってきた後、プログラミングされたパーサーという解析器が、Webページの記述言語であるHTMLのツリー構造を作成します。このツリーの中から、必要な情報を検索します。
検索した後、必要な情報を抽出する工程です。
Webクローラーを自社で開発する際には、次の注意点を押さえておきましょう。
Webクローラーを開発し、実際に動作させるには、インフラの構築と運用管理を行う必要があります。大規模になる場合は、サーバを複数台用意する必要があり、専門的な知識も求められます。また、Webクローラーを管理したり、データベースが構築された後の保守運用を行ったりすることも必要となるため、人的コストがかかることも知っておきましょう。
クローリングを行う際には、著作権のあるコンテンツの取り扱いや個人情報の取得などに注意する必要があります。また、クローリングを禁止しているWebサイトがあることも理解しておき、事前にそのようなサイトをクローリング対象から除外しておくことも求められます。
Webクローラーを開発しても、対象となるWebサイトの構造が変化すれば、同じWebクローラーを使い続けられるとは限りません。場合によっては使用できなくなることも考え、Webクローラーをアップデートできる体制を作っておきましょう。その意味でも、開発時だけでなく運用時にもエンジニアを確保しておくことは必要といえます。
クローリングにおける問題の一つに、対象Webサイトへ大きな負荷をかけてしまうことがあります。Webクローラーが頻繁にアクセスすると、対象サーバの規模によってはサーバダウンや、サービス障害などの支障が出てしまいます。
そのようなことが起きれば、業務妨害と判断され、対象サイトを運営する企業からブロックされるなどのトラブルに発展しかねません。スパムのような悪意のあるWebクローラーと勘違いされないように、十分な配慮が必要です。
Webクローラー開発が行えるエンジニアが不在である場合、インフラの準備や管理、Webクローラー機能のアップデートなどを自社で対応するにはハードルが高い場合、そして大規模な情報収集目的でクローリングを実施したい場合は、クローリングサービスやWebクローリングツールを利用するのが一般的です。
キーウォーカーの「ShtockData」は、クローリングおよびスクレイピングをご提供するサービスです。必要なデータを自動抽出して取得したものを利用することが可能です。
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Webクローラーは、企業の情報収集を大幅に効率化するためのクローリングを実現する重要なツールです。開発を進めるには、さまざまな方面から準備を整えましょう。
また、Webクローリング&Webスクレイピングサービス「ShtockData」であれば、エンジニアが不在でも効率的にクローリングおよびスクレイピングが可能になります。ぜひ導入をご検討ください。
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