価格戦略とは？主な戦略や価格設定の方法を解説

商品やサービスの価格設定は、市場で勝ち抜いていくため、顧客に納得のいく購入・購買を行ってもらうために重要な取り組みです。価格戦略を通じて綿密に計画を立てて実施していくことが重要です。
今回は、価格戦略の概要から必要性、戦略の種類、価格設定手法、効率化する方法と成功事例までご紹介します。

価格戦略とは？

まずは価格戦略の概要と必要性を解説します。

価格戦略とは？

価格戦略とは、価格設定を見据えたマーケティング戦略の一つです。

価格設定とは、商品・サービスを提供する際の対価を決めることです。多くの場合、市場に応じて需要と供給、製造コストなどさまざまな要素を加味して設定します。価格設定は、価格戦略に基づいてさまざまな方法で行われています。

また、価格戦略は、マーケティング戦略のマーケティングミックスのフレームワーク「4P」のうちの一つである「Price」に相当するため、その他の「Product（製品戦略）」や「Place（チャネル戦略）」、「Promotion（プロモーション戦略）」の要素も含めて取り組み、整合性を持たせる必要があります。

価格戦略の必要性

価格設定は商品やサービスを売る際に必ず行う必要がありますが、価格戦略は必ずしも検討するとは限りません。あえて考える意義はどこにあるのでしょうか。

まず、価格設定が企業収益に大きな影響をもたらすことは周知の事実です。価格設定によって、商品・サービスの売れ行き、評判、将来の成長にまでつながっていきます。そして、価格は顧客の購買意欲に直接的に影響を及ぼすことは忘れてはなりません。

このことから、企業は、データを用いて客観的に市場の需要と供給を把握し、自社の利益のバランスを取りながら、顧客の購入・購買意欲を維持できるようにするために、価格設定は重要といえます。そのためには、戦略的に取り組んでいく必要があるでしょう。

主な価格戦略のタイプ

価格戦略には、さまざまな種類があり、最適なものが取り入れられています。主な戦略を解説します。

スキミングプライシング戦略

市場投入時にあえて高価格を設定し、対象となる市場の「上澄みをすくいとる（＝スキミング）」ように、高価格でも購入してくれる層から収益を確保しようとする戦略です。早期に回収できるため、研究開発、広告費などに充当されます。

ペネトレーションプライシング戦略

市場投入時に、低く価格設定することで、対象となる市場で早期からシェアを獲得する戦略です。「浸透・普及（＝ペネトレーション）」を狙って実行されます。

ダイナミックプライシング戦略

社会環境の需要と供給に応じて価格を変動させる戦略です。例えば、ホテル業界ではお盆休みや年末年始などに需要が増すため、あえて価格を引き上げることで閑散期との利益バランスを取るといった価格戦略を取ることが多いです。

コストリーダーシップ戦略

市場において低価格や低コストによるリーダーシップを取る戦略です。ペネトレーションプライシング戦略と似ていますが、ペネトレーションプライシング戦略が短期的である一方、コストリーダーシップ戦略は一貫した姿勢を保つ点で異なります。

高価格戦略

ただ価格を上げるというわけではなく、商品やサービスの質を高めることで、それに見合った価格を打ち出す戦略です。顧客に認められる品質が求められます。

キャプティブプライシング戦略

付属品を高く価格設定することで、利益を上げる戦略です。商品そのものの価格は低く設定し、顧客の獲得をスムーズに進めた上で、付属品で攻めていきます。

ラグジュアリー価格戦略

高価格戦略と似ていますが、ラグジュアリー価格戦略とはラグジュアリーブランドなどが、ブランドの価値や希少性などを強調するために、あえて高価格をつける戦略です。

差別化戦略

価格戦略のみならず、商品の開発にも関わってくる戦略です。競合他社とは異なる異質の特殊な商品や特徴を備えたサービスを提供することで、優位性を図ります。例えば、競合にコストリーダーシップ戦略を選択している他社が存在する場合に、あえて高価格戦略を選択します。

集中戦略

ターゲットを絞って、集中的に投資する手法です。他社が総合的にAからEまでの様々な商品を販売している場合には、自社はAしか販売せず、Aを好むターゲットに絞って販売していきます。総合的に戦うよりも、ターゲットを絞ったほうが投資の効率が高くなると考えられています。

価格戦略をもとに行う価格設定

価格戦略には基づき、価格設定を行う際には、主に次のような手法で行います。

コスト志向の価格設定

製造や販売などにかかるコストに利益を上乗せして価格設定します。市場の競合、他社の価格は、あまり考慮に入れられないため、顧客にとって納得のいく感覚になるとは限りません。顧客に寄り添い、価格を調整していく必要があります。

需要（ニーズ）志向の価格設定

文字通り顧客のニーズをもとに価格を決める方法です。お客に直接ヒアリングやアンケートを行い、価格を設定していきます。自社の利益とのバランスを取る必要があります。

競争志向の価格設定

競合他者の価格よりも低く設定する方法です。これにより市場優位性を獲得できます。一方で、利益が減ることがあるため、最適な価格を見つける必要があります。

知覚価値志向の価格設定

価格を低く設定しなければ売れないというわけではありません。顧客が「この商品ならこの価格が適切だ」と思えば、高い価格でも購入に至ります。この手法では、顧客の知覚価値を重視して価格設定します。

価格戦略に欠かせない価格調査を効率化する方法

上述のような価格設定を行うためにはいくつかのアプローチがありますが、それらを効率的に行うための方法をご紹介します。

価格設定の具体的なアプローチ

価格設定のためには価格調査が重要であり、顧客分析、競合調査などを含む市場調査を行います。具体的には顧客へのアンケート調査や競合他社の商品価格リサーチなどが挙げられます。価格調査の概要や方法については、以下のコラムをご覧ください。

関連記事：価格調査とは？概要から市場調査における重要性、調査方法まで解説！
関連記事：価格調査のやり方とは？適切な調査方法をご紹介

価格調査を効率化するには？

価格調査における要点の一つとして、大量のデータ収集が挙げられます。しかし、インターネットリサーチなどによって人力で大量の情報を収集するには非効率的であるため、情報収集ツールを用いて自動化することが効率化のポイントです。

おすすめの手段としては、Webスクレイピングツールです。スクレイピングとは、Webやデータベース上の特定の情報を自動的に抽出できる技術のことで、Web上で公開されている競合他社の価格情報を取得できます。Webスクレイピングで収集した価格情報を、自動でデータベースにつなぎ込むことで、ダイナミックプライシングを行うこともできます。

関連記事：Webスクレイピングとは？仕組みから活用事例、メリットまでまとめて解説

価格調査をWebスクレイピングを利用して効率化した成功例

あるECサイトは、複数の競合他社のECサイトの膨大な価格や在庫情報を手動で収集することに大きな負荷がかかっていましたが、Webスクレイピングを試みたところ、情報収集の手間と時間を大幅に削減でき、取得した情報をもとに自社ECサイトの商品の価格設定を効果的に実行できるようになりました。その結果、今までデータ収集にかけていた時間を他の重要業務にリソースを割くことができ、また価格の最適化を行ったことで機会損失をなくし、売り上げアップにも繋げることできました。

まとめ

価格戦略は、自社に最適な価格設定を行う上で重要な取り組みといえます。価格戦略を進めるためには、価格調査を効率的に実行する仕組みも合わせて整備するとよいでしょう。

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