Webスクレイピングを自力で実行したいと思っても、どのプログラミング言語が適しているか分からない方向けに、本記事ではWebスクレイピングに最適なプログラミング言語をご紹介します。専門知識を有する人的リソースがない場合も考慮し、非エンジニアの対処法も合わせてご紹介します。
まずはWebスクレイピングの概要を確認しておきましょう。
Webスクレイピングとは、Web上から必要な情報を抽出して収集し、データを活用しやすいように加工する技術のことを指します。WebサイトはHTML言語で構築されていますが、そのHTMLから取得したデータを、データベースに格納し、分析できるデータに変換することが自動で行えます。Webスクレイピングによって、情報収集を大幅に効率化することが可能です。
関連記事:Webスクレイピングとは?仕組みや活用事例など分かりやすく解説!
Webスクレイピングを行う方法は、大きく分けて2つあります。一つは、Webスクレイピングのツールをプログラミングで自作する方法、もう一つは、既存ツールやサービスを利用する方法です。
Pythonなどのプログラミング言語を用いれば、Webスクレイピングのロボットは容易に作ることができます。Pythonの他に、PHP、Ruby、JavaScriptなどの言語も利用できます。基本的なプログラミング言語開発は、Webページにアクセスし、ページのHTMLを解析し、必要な情報を抽出するという流れで行っていきます。
では、ここからはWebスクレイピングに適したプログラミング言語として、おすすめの言語とそれぞれの特徴をご紹介します。
Python(パイソン)という言語は、短いコードで記述でき、シンプルな言語であることから、初心者でも比較的、容易に利用できる点に特徴があります。
開発に役立つプログラムをまとめたライブラリやフレームワークが豊富にあり、Webスクレイピングによく利用されるライブラリ「Requests」、「Beautiful Soup」、「Selenium」などを用いることは、Webスクレイピングのプログラミングを行う際に最も適しているといわれています。また、機械学習やAI開発などで用いられ、人気の高い言語といえます。
一方で、Python自体は実行速度が遅い、日本語のサポートが少なく、学習コストが高いといった点はデメリットとして知っておく必要があります。
PythonでWebスクレイピングを行う方法をまとめました。基本的な手順や使用するライブラリなどを解説します。
PHP(ピーエイチピー)は「PHP: Hypertext Preprocessor」と呼ばれるプログラミング言語です。WebサイトやWebアプリケーション開発に利用されることが多いため、耳にしたことがあるのではないでしょうか。PHPは、Webスクレイピングに特化した言語というわけではありませんが、ライブラリの「PHPQuery」が用いられることが多いです。
PHPは、Webスクレイピング初心者でも分かりやすく、学習しやすい点がメリットといえます。また、Webサイト制作などですでにPHPを利用したことがある場合は、開発環境が整っていることも多いため、PythonよりもPHPを選択すると容易に開発を始められるでしょう。
しかし、上述の通りPHPは主にWeb開発用途であるため、Pythonなどと比較して、Webスクレイピングに必要なライブラリが限られている点に注意です。
PHPでWebスクレイピングを行う方法をまとめました。PHPの概要から基本的な手順、注意点などを解説します。
Ruby(ルビー)とは、1995年に日本人エンジニアのまつもとゆきひろさんが開発した国産のプログラミング言語です。「Ruby on Rails」というフレームワークと相性が良く、Webアプリケーション開発でよく利用されます。記述がシンプルで読みやすく、扱いやすい言語といえます。Webスクレイピングも行うことができ、特によく使われるライブラリに「Nokogiri」が挙げられます。
ただし、大規模なWebシステムとして開発する場合は他の言語のほうが優先されることから、不向きといえます。記述ルールがあまり定まっていないため、複数人での開発はかえって煩雑になってしまう恐れもあります。したがって、個人レベルでプログラミングする際には利用が推奨されるでしょう。
JavaScript(ジャバ スクリプト)は、Webページを作るHTMLやCSSと組み合わせて動的なWebページを作るためのプログラミング言語の一つです。主にWebサイトやWebアプリケーション開発に用いられているため、なじみがある人も多いでしょう。学習コストが低く、比較的容易に開発を進められる点がメリットです。
JavaScriptは、Webページで動作させる用途でよく使われますが、サーバーで動かすこともできます。そのときに利用されるのが「Node.js」と呼ばれる、JavaScriptをサーバー側で動作させるプラットフォームです。Node.jsを利用することで、サーバーサイドで動作させることができることから、Webスクレイピングをプログラミングすることが可能になります。
ただし、ゼロから環境構築を行う必要があり、環境構築に手間がかかる点がデメリットです。特別な事情を除いて、Webスクレイピングに向いたPythonの利用をおすすめします。
以上がWebスクレイピングに適した言語であり、こちらをもとに自らWebスクレイピングできる環境を構築する場合は、以下の関連記事もご覧ください。
JavaScriptでWebスクレイピングを行う方法をまとめました。JavaScriptの概要から基本的な手順、注意点などを解説します。
以上のようなプログラミング言語を書籍や動画、オンラインコンテンツなどを駆使して習得し、万全な環境を構築した前提で、それらを全て使いこなせるようになれば、Webスクレイピングを実行できるでしょう。
しかし、それらの言語習得や環境構築は容易ではなく、プログラミングやスクレイピングに関する知識を獲得するために多くの時間や労力を費やすことになります。そこでおすすめなプログラミング言語として、「VBA」と「Google Apps Script」をご紹介します。
使い慣れたExcelでWebスクレイピングを実行することが可能で、拡張機能の一つであるVBA(Visual Basic for Applications)を利用する方法です。PythonやPHPなどと比較して開発環境の構築が不要であり、手軽に始められるメリットがあります。
VBAでスクレイピングを行うには、「Microsoft HTML Object Library」「Microsoft Internet Controls」というライブラリを利用します。
VBAの標準機能だけで実施する場合は、Internet Explorerでデータ取得を行うことになりますが、動作が遅い、対応していないWebサイトがあるなど、あまり理想的ではありません。Chromeで実施することもできますが、Webブラウザの操作を自動化するためのフレームワーク「Selenium Basic」をインストールする必要があるなど、少々手間がかかります。
ExcelやVBAが得意な人員がいる場合には試してみる価値はあるでしょう。
Googleが提供するアプリケーション開発プラットフォームであるGoogle Apps Script(以下、GAS)を利用した方法もよいでしょう。
GASを利用すればGoogleサービスの自動化が可能になります。環境構築が不要でWebスクレイピングを行うこともでき、非エンジニアでも始めやすいメリットがあります。
取得したデータは、Googleスプレッドシートに書き出すことができます。決まった時間や曜日にスクレイピングを実行させる定期実行の機能が備わっていたり、スクレイピング結果をリアルタイムに共有しやすかったりすることもメリットです。
一方で、膨大なデータのスクレイピングなど、大規模なリサーチには向いていません。また、クリックやフォーム入力などのブラウザ操作を伴うスクレイピングはできないので、対象サイトやデータは限られてしまうでしょう。
Google Apps Script(GAS)でWebスクレイピングを行う方法をまとめました。GASの特徴から手順、注意点などを解説します。
ここまでWebスクレイピングに適したプログラミング言語をご紹介してきましたが、プログラミング初心者でプログラマーではない方や、ビジネス活用を急ぎたい方は、プログラミング言語を使用せずにWebスクレイピングを実行する方法がおすすめです。
そのやり方とは、「Webスクレイピングサービス・ツールを利用する」ことです。Webスクレイピングサービス・ツールは、文字通りWebスクレイピングを実施してくれるサービスやツールのことです。
例えば、キーウォーカーの「ShtockData」がそのうちの一つです。
ShtockDataは、Webサイトを周期的に巡回し、Webページ上のデータを抽出し、収集するWebスクレイピングサービスです。データは、標準化された形式に変換され、クラウド上のDWH(データウェアハウス)に格納されます。そしてお客様のシステムにあわせ、CSV、JSON、APIなど様々なフォーマットでデータをご提供します。
Webデータから取得可能なデータには、画像や商品価格、レビュー、企業情報、ニュース記事といったテキストなどがあります。これらのデータは、価格戦略、商品企画、海外市場調査、企業情報の抽出、求人状況や不動産情報のリアルタイム把握、さまざまなマーケティング活動などに役立てられます。
サービス利用者は、取得したいWebサイトURL項目の指定をするだけで、あとはWebスクレイピングが終わるのを待つだけです。非エンジニアのWebスクレイピングの手段として、最も簡単に実行できるといえるでしょう。
Webスクレイピングはプログラミングによって行うことができ、さまざまな言語が利用できます。また非エンジニアであっても、実施する方法は複数ありますので、社内の状況に最適な方法を選びましょう。
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